Intel ISEF 2001 がサンノゼで開催。千葉県立安房高等学校生物部が、共同研究部門で4位入賞

第52回国際学生科学技術博覧会(International Science and Engineering Fair)が、米国カリフォルニア州サンノゼで2001年5月6日~12日に開催されました。アメリカと世界約40か国と地域から、1,202人の13歳~20歳の生徒があつまりました。賞金や奨学金の総額は約300万ドルです。開催地のサンノゼは、IT企業が多数集中するシリコンバレーの中心都市。これら企業の関係者だけでなく、科学者、大学教授、エンジニアなど1,000人以上の審査員が優秀な若い人材探しに会場をまわっていました。

 
今回、スポンサーのインテルからの5万ドルの奨学金、ノーベル賞表彰式への招待、工学部門での総合1位などを軒並み受賞し、注目を浴びた米国コロラド州のライアン・パターソン君の研究テーマは、手話を自動的に翻訳する機械の発明でした。また、今回の開催地、サンノゼの高校から参加した、サリス・リー君のグループは、「アメリカでは、アジアからの移民は『アジア系』として一括りにされることが多い」ので、メンバーの、カンボジア、中国、ベトナムといったルーツの違いや共通点を、DNAの構造を分析して解明しようとしていました。

 
日本からは、第44回日本学生科学賞で入賞した、大宮西高校卒の河野剛君、東京都立八王子東高卒の酒匂宏樹君、千葉県立安房高校生物部3年の山口晴代さんと小川真一君が参加しました。安房高校の「館山市沼地区におけるヒカリモの研究」が、共同研究部門で4位を受賞。日本勢として初めて、グループ研究での入賞を果たしました。彼らは、審査終了後、「研究が何の役に立つか」との質問にうまく答えられなかった、と少しくやしそうでした。しかし、最終的には、地域に根ざした地道な研究が評価されたことで、自信を持つことができたようです。今回は受賞にいたらなかった河野君と酒匂君も、自分の研究を世界に向けて発表でき、審査委員がきちんと研究を見てくれたことに感激していました。

 
日本チームは、ひたすら研究の実用性について問われる、審査のプロフェッショナルな雰囲気に多少、戸惑いながらも、自分たちの研究の意義について改めて考える、貴重な時間が過ごせたようです。たしかに、物理、化学、生物、地学の分野の基礎研究に重点を置く日本の高校までのカリキュラムをはるかに超えた実践的な取り組みの数々には、驚くほかありません。しかし、基礎研究の重要性も、地道な研究を積み重ねてきたプライドを持つ彼らは認識していました。

 
ノーベル賞受賞者12人が参加して1,500人もの聴衆を集めたパネルディスカッションは、もっぱら生徒との質疑応答に時間が費やされ、科学技術の発展にともなって浮上してきた倫理上の問題や、研究を全うしていく上での科学者の苦労などについての生徒の率直な質問に、複数の分野の研究者が、それぞれの立場からていねいに答えていました。

 
さまざまな国や地域から参加者が集まるISEFでは、生徒とその周りの社会や環境との関わりが、出展された研究に反映されていると感じます。

 

 

(元読売新聞社事業開発部・井口裕美)