ISEFとは

ISEFとは?

「ISEF」は、「International Science and Engineering Fair」の略で、「国際学生科学技術フェア」などと和訳されています。世界80の国と地域の約700万人から選ばれた約1,800人の高校生(9-12grade)が自分たちの研究を披露しあう科学研究コンテストで、いわば「科学のオリンピック」です。約70年続いている伝統あるフェアで、毎年5月にアメリカの都市で開催されます。

運営主体はワシントンにある非営利団体のサイエンスサービス「Society for Science」で、1997年から2019年までインテル社がタイトルスポンサーを務め「インテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)」と呼ばれていました。2020年よりRegeneron社がタイトルスポンサーを務め「リジェネロン国際学生科学技術フェア(Regeneron ISEF)」と呼ばれています。

賞金・奨学金の総額は10億円(800万ドル)!

21の分野ごとに、1等賞(First Place)から4等賞(Fourth Place)までの優秀賞(Grand Award)が授与されます。 賞金は1等賞から順に5,000ドル、2,000ドル、1,000ドル、500ドルです。

1等賞の中から選ばれる最優秀賞には「ジョージ・D・ヤンコプロス イノベーター賞」として75,000ドル、次点にあたる「リジェネロン若手科学者賞」には50,000ドルが贈呈されます。その他の1等賞の研究には、「ゴードン・E・ムーア賞」「クレイグ・R・バレット賞」「ロバート・ホーヴィッツ賞(基礎研究部門)」「ペギー・スクリップス賞(科学コミュニケーション部門)」などが授与されます。

また、企業や学会、政府団体、大学が「特別賞」を授与します。副賞は、大学進学ための奨学金やインターンシップ、研究所見学ツアー、実験機器などです。 「特別賞」は、各団体の独自の基準で審査されるため、複数の賞を取ることも珍しくありません。 これら賞金の総額800万(日本円で約10億円)にもなります。

詳しくは「賞の紹介」ページをごらんください。

どうやって審査されるの?

会場には各参加者にブースが与えられ、そこに規定のパネルや持参した実験器具などを展示します。審査の日には研究者はブースの前に立ち、審査員に説明したり、質問に答えたりします。審査員は科学者や技術者で1,000人以上にもなり、多くがボランティアです。ノーベル賞受賞者もたくさん参加しています。

競うばかりでなく国際交流も!

自分たちの研究を競うだけではありません。国際交流の場でもあるのです。ピンバッジ交換は、ISEFの伝統となっています。これが生徒同士の交流に役立っており「Do you have a pin?」の一言がきっかけに友達になることもあります。大人が参加できないパーティーなどもあって、科学の話題だけでなく盛り上がります。

日本サイエンスサービスでは、日本代表に選ばれたファイナリスト向けに研修会の開催や書類作成のアドバイス等、派遣準備をサポートしております。

ISEF関連書籍・映画

日本でもいくつかのISEFを題材にした書籍が出版されています。中には、映画化され、英語教科書の題材になっているものもあります。

理系の子 高校生科学オリンピックの青春(2012)
単行本・文庫 ジュディ・ダットン 著、横山 啓明 訳 文藝春秋

Intel ISEF2009に出場した高校生やさまざまな境遇の米国のサイエンスフェアに参加した高校生たちの感動の物語です。ノンフィクション作品として幅広く読まれており、この本をきっかけにISEFの存在を知った方も多いのではないでしょうか。日本語版には日本のファイナリストの経験談も含まれています。2014年に文庫化されていますので気軽にお読みただける一冊です。

ぼくは科学の力で世界を変えることに決めた (2015)
ジャック・アンドレイカ 著、マシュー・リシアック 著、中里 京子 訳 講談社

検出が困難で、見つかった頃には手遅れであることが多いと言われるすい臓がん。すい臓がんで大切な人を亡くした経験からこの困難な課題に正面から取り組んだ少年の自伝です。Intel ISEF2012で低価格かつ高感度のすい臓がんの検出センサを開発し、最高賞であるゴードン・ムーア賞を受賞したジャック・アンドレイカが、いじめを乗り越えた体験やすい臓がんセンサの開発に至るまでの背景や苦労を記した一冊。ジャック・アンドレイカはTED Talksなどでも講演しており、現在、最も有名なISEFファイナリストの一人です。

文庫 ロケットボーイズ 上 (2016)

文庫 ロケットボーイズ 下 (2016)
ホーマー ヒッカム ジュニア 著、武者 圭子 訳 草思社

1957年に人類初の人工衛星、スプートニクに魅せられた炭鉱の田舎町の少年たちがロケット開発に挑戦して、ISEFの前身であるNational Science Fairで優勝するまでの成長を描いた自伝。物語の主人公である著者はサイエンス・フェア参加をきっかけにNASAのエンジニアとして活躍した人物です。まさに、アメリカン・ドリームを体現したストーリーです。現在は文庫版のみ販売されています。

映画 遠い空の向こうに (1999)
ジェイク・ギレンホール 出演、クリス・クーパー 出演、ジョー・ジョンストン 監督 ユニバーサル

上述のロケットボーイズを映画化したのが、映画 遠い空の向こうにです。原題October Skyは、Rocket Boysのアナグラムになっています。少年たちの青春の物語を非常にうまく描いた、おすすめの感動作です。感動のあまり、思わずサイエンス・フェアに参加したくなる映画です。

これから研究を始め、ISEFに挑戦してみたい中高生向けの参考となる書籍をご紹介します。

中高生のための 科学自由研究ガイド (2015)
ターニャ・M・ヴィッカーズ 著、西本 昌司 訳、村本 哲哉 訳、佐々城 清 訳、高橋 正征 訳、NPO法人日本サイエンスサービス 訳 三省堂

アメリカの中高生に広く利用されている科学自由研究の指南書”Teen Science Fair Sourcebook”の翻訳に加え、国際大会経験者の解説など日本独自の情報が盛り込まれた一冊です。課題研究や自由研究で何から始めたらよいか迷っている方から国際大会参加を目指す中高生や指導者の方まで幅広くお使いいただける内容となっています。日本サイエンスサービスが翻訳や日本向け情報の提供を行っています。